不妊治療は、費用も精神的な負担も大きな「人生の戦い」です。実際、厚生労働省の調査によれば、体外受精1回あたりの費用は全国平均で約40万円。複数回にわたるケースも多く、100万円単位での出費は珍しくありません。だからこそ、制度を知らずに挑むのはあまりに危険です。
まず注目すべきは、「保険適用」です。2022年4月から不妊治療の一部が保険診療として認められ、自己負担は3割に軽減。体外受精や顕微授精も対象となり、以前の助成制度より広く、継続的に支援される仕組みに進化しました。ただし、年齢や回数に制限があるため、厚生労働省の公式サイトや各自治体の説明を必ず確認しましょう。
さらに、自治体独自の「助成金制度」も存在します。東京都では1回最大30万円の助成を受けられるケースもあり、国の制度との併用が可能です（令和6年度時点）。申請には期限や条件があり、事前に窓口や公式ページでの確認が不可欠です。
とはいえ、制度だけでは解決しません。不妊治療には時間的な余裕や通院の負担、結果が出ないときの落胆も伴います。だからこそ、重要なのは“計画”です。どれくらいの治療に、どれだけの期間・費用をかけるのか、夫婦で真剣に話し合い、現実的なラインを見極めましょう。
加えて、日本証券業協会が提唱する「ライフプランと資産設計」の視点も役立ちます。不妊治療は医療費であると同時に、人生の優先順位を問う投資とも言えます。「いくらまでなら続けられるか」「貯蓄とのバランスは取れているか」を、冷静にシミュレーションしておくべきです。
一人で抱え込む必要はありません。公的支援、医療機関、専門家、家族、そして配偶者。使えるものはすべて使って、いまできる最善を尽くすべきです。人生の大きな決断を支えるのは、知識と行動力。そして何より、あきらめない情熱です。
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